商品写真の色の悩み

商品写真を実物と同じ色に撮影する方法

2015年11月14日

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 最近はカメラの性能も良くなり、写真撮影が手軽になったので、ネットショップなどに掲載する商品写真をご自分で撮影するということも多くなっているのではないでしょうか。

 商品によっては、商品の色が重要であり、商品写真と実物の色に大きく差があると顧客満足がとても下がってしまうという性質のものもあるでしょう。

 ここでは、プロによる極めてシビアな色合わせは行わないまでも、根拠のあるワークフローで色を管理しながら、撮影から商品写真の完成まで進む方法をご紹介します。

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目次

前提 撮影に使う照明は普通の白っぽい照明で

 撮影に使う照明の色温度は、5000K〜6500Kくらいの普通の白っぽい照明を使うものとします。
 演出でオレンジっぽい照明など色のついた照明を使った場合に以下で説明する手順の処理をすると、人間の視覚のホワイトバランスの機能の範囲を超えて無理やりホワイトバランスをとるようなことになるので、実際の見た目と全然違う見た目の写真になってしまいます。

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全体のおおまかな流れ

 具体的な手順を説明する前に、おおまかな流れを説明します。

1 本番の撮影と同じ条件でカラーターゲットを撮影
まず、本番の撮影と同じ条件でカラーターゲットをRAWで撮影します。
2 撮影したデータからカメラプロファイルを作成する
撮影したRAWデータから、カメラプロファイルを作成します。
3 撮影したデータからホワイトバランスを決める
撮影したRAWデータから、ホワイトバランスを決めます。
4 実際の商品を撮影する
カラーターゲットを撮影したときと同じ条件で商品をRAWで撮影していきます。
5 撮影した商品写真に、カメラプロファイルとホワイトバランスを適用する
撮影した商品写真のRAWデータに、さきほどカラーターゲットから作成したカメラプロファイルとホワイトバランスを一律に適用します。
6 明るさ・コントラストの調整
明るさ・コントラストを調整したい場合は、調整します。
7 sRGBの画像として書き出す
調整が終了した写真を、sRGBかAdobeRGBのカラースペースの画像として保存して、完成です。

 サイズの変更やシャープネス処理はこの後、必要に応じて行います。

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具体的な手順の一例

手順1 撮影機材や商品などのセッティング

作業 まず、撮影機材や商品などのセッティングを行います。
 これは通常通りに行います。

 ディフューズボックスを利用して撮影するならディフューズボックスなども設置します。

 ライティングも本番の商品撮影時と同じく行います。
 ライトにトレーシングペーパーをかぶせて撮影する予定なら、かぶせます。
 自然光での撮影で、窓に布を下げるならそのようにします。

 そのように、これから実際の商品を撮影するときと全く同じ撮影環境を作ります。

手順2 商品の代わりに、カラーターゲットを置いて、RAWで撮影する

 撮影用のセッティングができたら、商品の代わりにカラーターゲットを置いて、RAWで撮影します。

カラーターゲットを用意する

 カラーターゲットというのは、色の標準化のための色見本のことです。
 ここでは、X-Rite社「ColorChecker Passport(カラーチェッカー・パスポート)」を使用します。

※現在はColorChecker Passport Photo 2という製品が発売されています。ColorChecker Passport Photo 2を使用する場合でも作業自体はColorChecker Passportとほとんど違いはありません。

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メーカーのページ

X-Rite: MSCCPP-B : ColorChecker Passport Photo 2
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「ColorChecker Passportホワイトバランス ターゲット」を撮影する

作業 「ColorChecker Passportホワイトバランス ターゲット」を商品の代わりに置きます。
 ターゲットがレンズ面に水平になるように置きます。

操作 カメラのホワイトバランスは適当なものを選びます。(昼光、蛍光灯、など照明にある程度合っているものを選びます。)

操作 適正な露出にし、ピントを合わせます。

作業 RAWで撮影します。

ホワイトバランスターゲットを撮影

「ColorChecker Passportクラシックターゲット」を撮影する

作業 「ColorChecker Passportクラシックターゲット」を商品の代わりに置きます。
 ターゲットがレンズ面に水平になるように置きます。
 ターゲットがカメラフレーム内の面積の10%よりは大きく写るようにします。それより小さいとこの後の作業で支障があります。

操作 カメラのホワイトバランスは適当なものを選びます。(昼光、蛍光灯、など照明にある程度合っているものを選びます。)

操作 適正な露出にし、ピントを合わせます。

作業 RAWで撮影します。

 カラーターゲット内の最も暗いパッチが黒つぶれせず、最も白いパッチが白飛びしないように撮影します。

 1回で絶妙な露出で撮影するのは難しければ、少しずつ露出を変えて何枚か撮影すると良いでしょう。

クラシックターゲットを撮影

手順3 撮影したRAWデータからカメラプロファイルを作成する

 「ColorChecker Passportクラシックターゲット」を撮影したRAWデータを使って、カメラプロファイルを作成します。

「ColorChecker Passportクラシックターゲット」を撮影したRAWデータをDNGファイルにする

作業 「ColorChecker Passportクラシックターゲット」を撮影したRAWデータをAdobeの現像ソフトで開きます。
 ここではPhotoshop、Photoshop elementsのプラグインのCamera rawを使用します。

RAWデータをCamera rawで開く

操作 開いたら、何も手を加えず、「画像を保存」でDNG形式で保存します。

DNGを作るためのソフト


Vector PC Shop Adobe Photoshop Elements  Amazon

DNGファイルからカメラプロファイルを作成する

 「ColorChecker Passport」に付属している「ColorChecker Passportカメラキャリブレーションソフトウェア」を使用して、保存したDNGファイルからカメラプロファイルを作成します。

操作ColorChecker Passportカメラキャリブレーションソフトウェア」を起動します。
 ※「ColorChecker Passportカメラキャリブレーションソフトウェア」はX-Rite社の商品のウェブページからもダウンロードできます。

操作 「DNG」と「デュアルイルミナントDNG」が選べるようになっているので、「DNG」を選びます。

color_checker_passport_soft01

ColorChecker Passportカメラキャリブレーションソフトウェア

操作 「ColorChecker Passportカメラキャリブレーションソフトウェア」のウィンドウに、「ColorChecker Passportクラシックターゲット」を撮影したRAWデータから書き出したDNGファイルをドラッグ&ドロップします。

 そうすると、「ColorChecker Passportカメラキャリブレーションソフトウェア」が画像内のカラーターゲットの場所を認識してカラーターゲットだけ表示し、パッチの位置も認識してくれます。

カラーターゲットが認識された状態

操作 もしパッチの位置が正しく認識されていなかったら、手動で微調整します。

操作プロファイルの作成」をクリックして、カメラプロファイルの名前を付けて保存します。
 カメラと照明の種類と日付を名前に付けると分かりやすいです。

手順4 撮影したRAWデータを使ってホワイトバランスを決める

 先ほど「ColorChecker Passportホワイトバランス ターゲット」を撮影したRAWデータを使用して、ホワイトバランスを決めます。

RAWデータにカメラプロファイルを適用する

操作 「ColorChecker Passportホワイトバランス ターゲット」を撮影したRAWデータを、Adobeの現像ソフトで開きます。
 ここではPhotoshopのプラグインの「Camera raw」を使用します。

 Photoshop Elementsの「Camera raw」の場合、写真1点ずつにカメラプロファイルを適用してホワイトバランスをとっていくことはできますが、設定を保存して複数のRAWデータに一律に適用することができないようです。

ホワイトバランスターゲットを撮影したRAWデータをCamera rawで開く

操作 「カメラキャリブレーション」タブ内の「カメラプロファイル」の欄で、先ほど作成したカメラプロファイルを選択し、適用します。
 その結果、色が実際の色に近く補正されます。
 ただし、まだホワイトバランスが適正でないので見た目にはかなり実物と違います。

画像内の「ColorChecker Passportホワイトバランス ターゲット」でホワイトバランスを決める

操作 ホワイトバランスツールを選択肢、画像内に写っている「ColorChecker Passportホワイトバランス ターゲット」をクリックします。

 これで、撮影時の照明の下でみた状態と近い見た目の画像になりました。

手順5 カメラキャリブレーションとホワイトバランスの設定を保存する

 実際の商品写真に一律にカメラプロファイルとホワイトバランスを適用するため、設定を保存します。

操作 先ほど「Camera raw」でホワイトバランスを決めた状態から、「設定の保存」を選択します。

camera_carib_save0

操作ホワイトバランス」「カメラキャリブレーション」の2項目のみをチェックし、カメラ名、照明、日付などを名前に付けて設定を保存します。

camera_carib_save

手順6 商品写真の色を一律に補正する

 作成した「カメラキャリブレーション」「ホワイトバランス」の設定を使用して、商品写真の色を一律に補正する方法を、「Camera raw」を例にして説明します。

作業 カメラプロファイル、ホワイトバランスの設定を作ったときと同じ撮影条件で撮影する商品を全てRAWで撮影します。

操作 全てのRAWデータをCamera rawで開きます。
(Bridgeで開きたい写真をすべて選択して、右クリックで「Camera rawで開く」を選びます)

操作 「Camera raw」のフィルムストリップの欄で全てのデータを選択します。

操作プリセット」タブ内から、先ほど作成したカメラキャリブレーションとホワイトバランスの設定を選択します。

 その結果、すべての写真にカラーターゲットを利用して作成したカメラプロファイルとホワイトバランスが適用されます。

手順7 明るさ・コントラストの調整

操作 明るさ・コントラストを調整する場合は、写真それぞれに調整します。

手順8 画像を書き出す

操作 調整した写真を画像データに書き出します。

ウェブ上で使用する写真はsRGBで

 ウェブ上に掲載する写真の場合はsRGBのカラースペースの画像として書き出します。
 世の中のディスプレイで最も標準的に使用されているカラースペースがsRGBであるため、sRGBのカラースペースの写真を掲載することで最も多くの閲覧者に対して適正な色で見てもらえる可能性が高いからです。

この後レタッチ作業を行うならAdobeRGBで

 画像を書き出した後にレタッチ作業を行う場合はAdobeRGBで書き出します。
 レタッチが終わった後に、ウェブ用にsRGBにプロファイル変換します。

より商品の実物と同じ色にするにはさらに補正が必要

 ここまで説明してきた手順だけですと、ある程度近いところまでいきますが完璧に商品と同じ色と言えるまでにはなりません。

カメラプロファイルと、ディスプレイプロファイルやプリンターの出力プロファイルの違い

 ディスプレイプロファイルやプリンター用の出力プロファイルなどは、できるなら寸分たがわず同じ色をデバイス間で渡していきたいために、数百から2000パッチくらいのパッチを使用して作成するものです。

 一方、カメラプロファイルは24パッチほどの少ないパッチで、ある程度まともな色からレタッチ作業などを出発できるようにするために作ります。

 そのため、カメラプロファイルを使用したからといって、ディスプレイ-プリンター間のカラーマネジメントのような精度で見た目と同じく撮影できるわけではありません。

もう少しパッチ数の多い ColorChecker® Digital SG について

 ColorChecker Passportよりパッチの色の数が多いColorChecker Digital SGというカラーターゲットもあります。
 これを使ってカメラプロファイルを作成すれば、もう少し精度の高いプロファイルが作れるかもしれません。

 ところが、ColorChecker Digital SGを使用してカメラプロファイルを作成できるソフトが見当たりません。
 以前はメジャーなプロファイル作成ソフトで作れたようですが、最近入手可能なプロファイル作成ソフトでColorChecker Digital SGを使ってカメラプロファイルが作れるものが見つかりません。

外部に写真の処理を依頼する場合、カラーターゲットを写しておくと良い

 カラーターゲットは各パッチの色彩値が予め分かっていますので、商品写真の処理を外部に依頼する場合、商品の他に同じ条件でカラーターゲットを写した写真も渡しておくと良いでしょう。

 写真を処理するときに、なんとなく見た目の綺麗さだけで処理のではなく、カラーターゲットの色彩値を見て実物にある程度近い仕上がりにするための目安にできるからです。

 なお、ColorChecker Passportの各パッチの色彩値は、X-Rite社のウェブサイトの以下のページにあります。

商品の実物と商品写真を極めて近い仕上がりにするには、実物を見る必要がある

 しかし、カラーターゲットを目安にして作業をするのも限界があります。

 色が非常に重要な要素であり、色の差がクレームに発展することもあり得るような商品の写真の場合は、決めた条件の照明の下で実際の商品を観察しながら同じ色に仕上がるようにレタッチを行う必要があります。

参考ウェブサイト

補足 大きいカラーターゲットが必要な場合

 Color Checker Passportでは小さすぎるので、大きいカラーターゲットが必要という場合は、以下のような製品もあります。

楽天市場 Amazon

X-rite (エックスライト) ColorChecker White Balance (カラーチェッカー・ホワイトバランス) KHG3421-WB

楽天市場 Amazon

 以上、根拠のあるワークフローで色を管理しながら、撮影から商品写真の完成まで進む方法をご紹介しました。

当ブログ参考記事


ビジネスの存続に関わる重要事項 消費税・複数税率・インボイス制度

 消費税10%と複数税率に伴って導入された「インボイス制度」の影響で、かなりの数のフリーランス等の個人事業主や中小業者が廃業に追い込まれることが予想されています。
 以下はインボイスについて説明している動画とウェブページです。

※インボイス制度の本格実施は2023年10月

カラーマネジメントの本

フォトレタッチの本

当事務所について

平間フォトレタッチ事務所

写真や種々のデータの色の問題など、芸術センスでは解決できない画像の色補正、フォトレタッチ、その他当ブログで扱っているような分野のご相談をお寄せいただけますと幸いです。

最近の業務の例

  • 商品の色測定、商品写真の色調補正
  • 建築物の写真の明るさ・色補正、歪み補正、人物・電線・電柱・車等の不要物消去、空合成など
  • 建築物の写真の外壁等を指定色に変更する処理
  • 曇天時に撮影した建築物の写真を晴天時の写真に変更する処理
  • 素材用写真の明るさ調整・レタッチ
  • アイドル・タレント等の写真のレタッチ・切り抜き
  • ファッション誌の写真のレタッチ
  • 結婚写真の明るさ・色補正、レタッチ
  • ウェブ用・印刷物用のプロフィール写真のレタッチ
  • フィルムスキャン後のデータの色調補正等
  • 写真・グラフィックのプリンター出力業務
      など

写真・グラフィック出力サービス

当事務所で、AdobeRGBの写真のデータからほぼAdobeRGBの色域を維持してプリンター出力を行う、といったような広色域プリンター出力サービスを行なっています。
一般的な銀塩プリントやプリンター出力のサービスでは対応してくれないような種々のプロファイル、種々の形式のデータにも柔軟に対応します。
写真・グラフィック出力サービス
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広色域のプリンターで写真・グラフィック等を出力するサービスです。例えばAdobeRGBの写真をAdobeRGBのまま銀塩プリント相当の画質で出力したいときに便利です。

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